1.「担当者全員」の「望み」をかなえようとする。
【どんな問題が起こるのか】
ここでは、2種類の問題が起きています。
ひとつ目は、「この機会に人事の業務を洗い出そう」と考え、「漏れがないように」と、人事関係者を網羅して話を聞き、その結果システムがカバーする範囲が拡がっていき、「欲しい機能」のカテゴリが増えていくというパターンです。
元々は「自社の人材・タレントマネジメントを強化するため」が、メインの目的であったはずなのに、そこには直接は関係ない業務や仕組みの話が入ってきます。目的達成とそれらの繋がりが明確に見えていれば当初の範囲が拡がることもありですが、実際には、目的達成との繋がりがわからないままに、要望だけが増えていくという状況に陥ります。その結果、そもそものメインの目的の存在が薄れ、目指している方向がバラバラの要望機能が並んだリストができることになります。
ふたつ目は、「誰に聞くべきかが良く考えられていない」、「関係者の意識づけが誤っている、目的が共有できていない」というパターンです。「今、現場でシステムを使っている人」と「新しいシステムを活用して、マネジメントの質を上げるタスクを負っている人」を、無自覚に並列に扱っているケースも珍しくありません。目的に対して正しい要望を出せるのはどういう人なのかを精査するというプロセスが抜け落ちているのです。
そうなると、出てくる要望内容のレベルの高低がバラバラで、中には、「システムが入れば、そもそも業務として必要なくなるのでは?」といった、単に今欲しいと思っている機能や、「その資料は変化・変更が多いから、手作業として残した方がいいのでは?」という、将来の変化可能性やビジネスへのインパクトをとった視点が抜け落ちている要望も紛れ込んできます。しかし、元々の意識合わせができていないので、リスト化されてしまった要望の優先順位づけや、適切な要望の削減を後から行うのは困難です。
こうした問題をはらんで出来上がった「要求機能」を「機能要件一覧」として一律に並べ、その実現可能性を○△×等で回答してもらい、マッチング率を計算。その数字が高いベンダーの提案が、「自社に合っている」と判断されていくことになります。もちろん、他の要素も加味されるでしょうが、例えば、90%と65%という数字が並んだとき、この差をひっくり返すことは容易ではありません。
本来の目的から考えれば絶対に外してはいけない機能と、本来の目的とのリンクが薄い機能や、担当者の「あったら嬉しい」というレベルの機能が、すべて1として数えられ、無味無臭の数字に置き換えられてしまい、その高低によって評価されてしまっているわけです。リリース後に「どうも最初に期待していた効果が出せてない」と感じるようになるのは、決して不思議なことでありません。
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