コラム
人材・組織マネジメントにおけるデータ活用で成果を上げるために必要なことを考えます
なぜ人事は、システム活用で自社の真の問題にたどり着けないのか? ~多すぎる外部からの情報、少なすぎる内部の情報~
2021.09.09
少なすぎる内部の情報
課題を発見して解決していくプロセスを回すためのインフラが未整備
「多すぎる外部からの情報」の段で、自社の課題・問題を把握し、解決策につなげていくサイクルを確認しました。このサイクルを回そうと考えたときに、以下の問題に突き当たります。
◉ 本当に、現状把握ができるインフラが構築されているのか?
◉ 問題・課題を発見・把握することができるベースができているのか?
多くの企業の人事では、この点について十分に対応ができていないのではないか、とみています。そこでは、社内のデータ整備とその活用の仕組みが決定的に不足している、つまり、「会社内部の情報が圧倒的に少ない」ことが、大きく影響をしていると考えられます。
「内部情報が少ない」の正体とは?
ここでいう「内部の情報が少ない」というのは、
✔ 「人」の情報が、散在・散逸している。
✔ 情報はあるが、本来の目的にあった形で取り出せていない。
✔ そもそも、そうした課題を解決するための時間がない。
という状況を指します。ひとつひとつ、具体的に整理していきます。
まず、何故、「人」の情報が、散在・散逸してしまうのかを考えます。多くの企業では、以下のようなことが起きていることが見てとれます。
① そもそも、様々な場所にデータが保存されている。
❖ 活用という統合的な視点ではなく、実業務区切りでデータが管理されている。
② 様々な場所に保存されているデータの連携が難しい。
❖ システム間の連携、Excel/CSVの取り込みという作業から手作業を排除するのは
簡単ではない。
③ 情報が発生しているのに、取りこぼしてしまっている。
❖ 「人材データの一元化の目的」が一般論で終わっている
(本当には肚落ちしていない)
-本来、必要となる情報に気がつけず、放置してしまっている。
-人事担当以外のデータ管理者に重要性が理解されず、提供してもらえない。
❖ システムの構造が、運用のみに焦点が当てられ、そこで発生している貴重な情報を
収集できない
-人事考課・目標管理等で発生するプロセスやコメントなどを集められない
-プロジェクト管理などで発生する経験や役割、成果情報、工数情報などが集め
られない
もし、こうなっているとしたら、必要十分な情報を揃えることは難しいはずです。
次に、何故、情報があるが、本来の目的にあった形で取り出せていないのかを考えます。多くの企業では、以下のようなことが起きているようです。
① 一元化が中途半端なレベルに留まっている。
❖ データ管理が、定型的、汎用的、限定的な範囲に留まっている。
(データ構造に制約があるパッケージシステムの限界)
❖ 自社の人材関連データを、実際に活用できるように一元化することは、
データの性質上ハードルが高い。
❖ 異なる目的で管理されてきたデータを一つの目的の下で使えるように整備・統一
することは、想像以上に難しい。
② 課題発見・意思決定のプロセスに応えることができるアウトプットの仕組みが
整っていない。
❖ ベストプラクティスの考え方に基づき、汎用的に通用することを目指した、
「決め打ち」的なアウトプットの機能だけを持っていることが多い。
現状をしっかりと把握するためには、単にデータを集めるだけではなく、活用できるように整備されたデータベースを構築し続けることが求められます。また、自社にとって重要な課題・問題にたどり着くには、通り一辺倒、どの会社でも使えるようなレポートを見ているだけではまったく不十分です。様々な角度からの試行錯誤、仮説検証に対応していけるだけのアウトプットを出し続けることができる仕組みが必須です。
最後に、これまで見てきたような課題に気がついたとしても、それに取り組む時間がないという問題です。
なぜ、そういう状況に陥ってしまうかといえば、「実は、人事業務の省力化、効率化が思った以上に進んでない」からです。長年、人事とシステムを考える仕事をしてきましたが、最近になっても、以下のような声を聞くことが少なくありません。
✖ 「現行システムでは例外処理が多く、手作業が残っているが、現行システム導入
時に、『すべて自動化する』ことが導入の前提だったので、今更、新しいシステ
ムや追加機能が必要とは言えない」
✖ 「以前からずっと行われている業務を、誰も止めることができない」
✖ 「帳票類はすべてExcelで対応。複雑な帳票も多く、属人的な作業になっている
ため、外から改善の声を上げにくい」
多くの場合、現状では業務が回っているので、大きな変革を起こすだけの流れを作り出すことができず、戦略的タスク以外に、綿々と時間が使われ続けることになります。
「内部の少なすぎる情報」が引き起こす問題
まとめとして、「内部の少なすぎる情報」が引き起こす問題について、整理します。
☼ 充分な情報がなく、自社の現状を把握できない。
☼ 実は「本当に必要が情報」が入手できず、課題発見、解決につながらない。
☼ それに気がついたとしても、成果を出していくための時間が不足している。
課題を発見して解決していくプロセスを回すためのインフラが未整備
「多すぎる外部からの情報」の段で、自社の課題・問題を把握し、解決策につなげていくサイクルを確認しました。このサイクルを回そうと考えたときに、以下の問題に突き当たります。
◉ 本当に、現状把握ができるインフラが構築されているのか?
◉ 問題・課題を発見・把握することができるベースができているのか?
多くの企業の人事では、この点について十分に対応ができていないのではないか、とみています。そこでは、社内のデータ整備とその活用の仕組みが決定的に不足している、つまり、「会社内部の情報が圧倒的に少ない」ことが、大きく影響をしていると考えられます。
「内部情報が少ない」の正体とは?
ここでいう「内部の情報が少ない」というのは、
✔ 「人」の情報が、散在・散逸している。
✔ 情報はあるが、本来の目的にあった形で取り出せていない。
✔ そもそも、そうした課題を解決するための時間がない。
という状況を指します。ひとつひとつ、具体的に整理していきます。
『人』の情報が、散在・散逸している。
まず、何故、「人」の情報が、散在・散逸してしまうのかを考えます。多くの企業では、以下のようなことが起きていることが見てとれます。
① そもそも、様々な場所にデータが保存されている。
❖ 活用という統合的な視点ではなく、実業務区切りでデータが管理されている。
② 様々な場所に保存されているデータの連携が難しい。
❖ システム間の連携、Excel/CSVの取り込みという作業から手作業を排除するのは
簡単ではない。
③ 情報が発生しているのに、取りこぼしてしまっている。
❖ 「人材データの一元化の目的」が一般論で終わっている
(本当には肚落ちしていない)
-本来、必要となる情報に気がつけず、放置してしまっている。
-人事担当以外のデータ管理者に重要性が理解されず、提供してもらえない。
❖ システムの構造が、運用のみに焦点が当てられ、そこで発生している貴重な情報を
収集できない
-人事考課・目標管理等で発生するプロセスやコメントなどを集められない
-プロジェクト管理などで発生する経験や役割、成果情報、工数情報などが集め
られない
もし、こうなっているとしたら、必要十分な情報を揃えることは難しいはずです。
情報はあるが、本来の目的にあった形で取り出せていない。
次に、何故、情報があるが、本来の目的にあった形で取り出せていないのかを考えます。多くの企業では、以下のようなことが起きているようです。
① 一元化が中途半端なレベルに留まっている。
❖ データ管理が、定型的、汎用的、限定的な範囲に留まっている。
(データ構造に制約があるパッケージシステムの限界)
❖ 自社の人材関連データを、実際に活用できるように一元化することは、
データの性質上ハードルが高い。
❖ 異なる目的で管理されてきたデータを一つの目的の下で使えるように整備・統一
することは、想像以上に難しい。
② 課題発見・意思決定のプロセスに応えることができるアウトプットの仕組みが
整っていない。
❖ ベストプラクティスの考え方に基づき、汎用的に通用することを目指した、
「決め打ち」的なアウトプットの機能だけを持っていることが多い。
現状をしっかりと把握するためには、単にデータを集めるだけではなく、活用できるように整備されたデータベースを構築し続けることが求められます。また、自社にとって重要な課題・問題にたどり着くには、通り一辺倒、どの会社でも使えるようなレポートを見ているだけではまったく不十分です。様々な角度からの試行錯誤、仮説検証に対応していけるだけのアウトプットを出し続けることができる仕組みが必須です。
そもそも、そうした課題を解決するための時間がない。
最後に、これまで見てきたような課題に気がついたとしても、それに取り組む時間がないという問題です。
なぜ、そういう状況に陥ってしまうかといえば、「実は、人事業務の省力化、効率化が思った以上に進んでない」からです。長年、人事とシステムを考える仕事をしてきましたが、最近になっても、以下のような声を聞くことが少なくありません。
✖ 「現行システムでは例外処理が多く、手作業が残っているが、現行システム導入
時に、『すべて自動化する』ことが導入の前提だったので、今更、新しいシステ
ムや追加機能が必要とは言えない」
✖ 「以前からずっと行われている業務を、誰も止めることができない」
✖ 「帳票類はすべてExcelで対応。複雑な帳票も多く、属人的な作業になっている
ため、外から改善の声を上げにくい」
多くの場合、現状では業務が回っているので、大きな変革を起こすだけの流れを作り出すことができず、戦略的タスク以外に、綿々と時間が使われ続けることになります。
「内部の少なすぎる情報」が引き起こす問題
まとめとして、「内部の少なすぎる情報」が引き起こす問題について、整理します。
☼ 充分な情報がなく、自社の現状を把握できない。
☼ 実は「本当に必要が情報」が入手できず、課題発見、解決につながらない。
☼ それに気がついたとしても、成果を出していくための時間が不足している。