コラム
人材・組織マネジメントにおけるデータ活用で成果を上げるために必要なことを考えます
何故、「タレントマネジメントシステム」で成果を出せなかったのか?今、日本の人事が求めるべきシステムとは?
2018.03.30
「タレントマネジメントシステム」と呼ばれるシステムが、日本で一般的に使われ始めたのは、2010年頃からである。
それから約7年、
「導入したけれど、利用を止めてしまった」
「目標管理の運用にだけ使っている」
「標準的な個人情報を閲覧する電話帳のようなものになっている」
「従業員サービスにはなったが、人事部がプロフェッショナルとして
経営に貢献するという効果は得られなかった」
という声を、実際に多数聞くようになった。
それなりの費用や工数をかけ、期待をもって導入したシステムが、どうしてこのような結果に終わってしまったのだろうか。
今回は、何故「タレントマネジメントシステム」で成果を出せなかったのか?
今、日本の人事にはどんなシステムが求められているのかについて、整理してみたい。 そこには、単に各社の担当者の努力不足ではない、構造的な問題がある。
本題に入る前に、「人事がシステムで成果を出す」とは、何を指すのか、これからの話の前提を明確にしておこう。
タレントマネジメントシステムを導入して、以下のようなことを実現した(したい)というケースは少なくない。
◇ 採用管理プロセスをシステム化した
◇ 目標管理を紙の運用からワークフローシステムに置き換えた
◇ 社員の基本情報を全社で共有できるようになった
確かにこうしたことも、今までできていなかったこと、できたらいいと考えていたことを実現したという意味では、「成果を出した」と言えるのかもしれない。
しかし、人事の本質的なタスク、
「短期・中期・長期のビジネス目標を、組織・人材の側面で支援する」という視点から見れば、 そこで生み出されたものは、まったく物足りないのではないだろうか。
厳しい見方をしてしまえば、単に業務の効率化を果たしたり、人事の「手間」を削減したにすぎない。
本稿では、「人事がシステムで成果を出す」ということは、システムで実現したことが、経営やビジネスに貢献している、少なくとも貢献するための道への一歩を踏み出している、という前提で、話を進めていきたい。