コラム

人材・組織マネジメントにおけるデータ活用で成果を上げるために必要なことを考えます

コラム

「基幹人事システムの壁」を越えて、重要業務のシステム化に成功するためには?

2023.04.28

多くの基幹人事システムが突き当たる「壁」の正体は?

多くの基幹人事システムが突き当たる「壁」とは、具体的にどのようなものなのでしょうか。

  • ① 実現したい業務要件と導入しているシステム構造に大きなギャップがある。

特に大企業の場合、EPRシステムを基幹とし、かつ、外資系パッケージを選択しているケースが多く見受けられます。

例えば「組織」の考え方をみた場合、日本は"配属先"という組織の一員であることを意識しますが、海外では誰が上司かというレポートラインを意識した構造になっています。異動配置検討を行う際の組織図の表現や、異動業務に対するデータの持ち方そのものに違いが出るケースが少なくありません。何よりERP基幹システムの場合、会計や財務、生産といった企業活動に直結する要件が優先され、人事業務支援ツールとしての小回りが利いた、自由な機能拡張は制限されることが多いのが現実です。

  • ② 人事業務特有の権限を思うように制御しきれない。

これらも組織に対する考え方と関連しますが、日本企業ならではの「きめ細かい」権限制御が実現できないケースが見受けられます。異動業務や評価においてはかなり細かい権限制御や、ワークフロールートを要望する企業が少なくありません。ガバナンスさえ効いていれば、すべてのデータをオープンにしてよい、と振り切れる企業はまだまだ少数派でしょう。

  • ③ 変化に強い、柔軟性のあるレポート機能が不足している。

外資系パッケージに関わらず、変化に強い柔軟性のあるレポート機能が不足しているシステムが多いということです。 いわゆる人事業務における「給与管理」や「社会保険業務」といった領域では、法定調書や届け出・計算書といった固定レポートでほとんどのニーズをカバーすることができます。

一方で、 「人材データ活用」という幅広い視点で、情報を自由に扱うには、レポート機能の柔軟性が求められます。"多彩なレポートが標準テンプレートとして提供されています" と謳われていても、現場や業務で現実的に利用していくためには、細かい要望が出てくるものです。それらを無視しては意味のないレポートになってしまうケースが少なくありません。

  • ④ 部門・現場視点の「データ収集」・「情報開示」ツールが不足している。

多くのシステムで、"社内コミュニケーションの円滑化"や"ラインマネジメントを支援することを目的とした、顔写真や個人プロフィール公開"、というタレントマネジメント機能が提供されています。しかし、部門・現場視点の「データ収集」・「情報開示」という観点でみると、実は不十分であることが多い、というのが実情です。部門や現場でリアルに運用していくためには、個人にフォーカスしたベストプラクティスの考え方だけでは対応しきれません。また、昨今はアドオン開発ができないシステムが多く、結局、手作業に頼らざるを得ないという結果に陥ります。

1 2 3